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ジーザス・クライスト・スーパースター

MCA MCAD2-11000(CD)
MCA MCA2-11000(LP)
P:Norman Jewison
E:不詳

作曲:アンドリュー・ロイド・ウェバー
作詞:ティム・ライス

録音1973

EMI アビーロード・スタジオ,ロンドン

スタッフ
監督: Norman Jewison ノーマン・ジュイソン
製作: Norman Jewison ノーマン・ジュイソン
Robert Stigwood ロバート・スティグウッド
原作: Tim Rice ティム・ライス
原作戯曲: Tim Rice ティム・ライス
脚本: Norman Jewison ノーマン・ジュイソン
Melvyn Bragg メルヴィン・ブラッグ
撮影: Douglas Slocombe ダグラス・スローカム
音楽: Andrew Lloyd Webber アンドリュー・ロイド・ウェバー
指揮: アンドレ・プレヴィン
演奏: ロンドン交響楽団
編集: Antony Gibbs アントニー・ギブス

キャスト(役名)
Ted Neeley テッド・ニーリー (Jesus_Christ)
Carl Anderson カール・アンダーソン (Judas_Iscariot)
Yvonne Elliman イボンヌ・エリマン (Mary_Magdalene)
Barry Dennen バリー・デネン (Rontius_Pilate)
Bob Bingham  (Caiaphas)
Larry T. Marshall  (Simon_Zealotes)
Josh Mostel ジョシュ・モステル (King_Herod)
Kurt Yaghjian カート・ヤハジアン (Annas)
Philip Toubus フィリップ・トウバス (Peter)

曲目
ディスク: 1
1.序曲
2.彼らの心は天国に
3.何が起こるのですか
4.不思議な出来事
5.はっきりさせよう
6.今宵安らかに
7.イエスは死ぬべし
8.ホザンナ
9.熱心党シモン
10.哀れなエルサレム
11.ピラトの夢
12.イエスの宮
13.私はイエスがわからない
14.裏切/血の報酬

ディスク: 2
1.最後の晩餐
2.ゲッセマネの園
3.逮捕
4.ペテロの否認
5.ピラトとキリスト
6.ヘロデ王の歌
7.始めからもう一度
8.ユダの自殺
9.ピラトの裁判
10.スーパースター
11.磔
12.ヨハネ伝19章41節
 セリフが一切ないオペラ形式のミュージカル。もともとはロック・オペラとして1969年に作曲された。ロイド・ウェバー若干232歳のときの作品である。主だった役には、のきなみ2オクターブを超える音域が要求されている。最初のレコーディングではロック・グループのディープ・パープルのボーカリスト、イアン・ギランやミュージカル「ヘアー」のロンドン公演にも参加していたマレイ・ヘッドとともに映画版でもマリア役のイボンヌ・エリマンなどが参加していた。ここから火が付きプロードウェイの舞台に掛かり1972年のロンドン公演を経てついにノーマン・ジェイソンによって映画化されたのだった。
 この作品を初めて観たのは1973年11月23日の試写会だった。その時の感想をノートにこのように記していた。
「ロックオペラ、このミュージカルをより現代的にした手法は見事に成功している。序曲からヨハネ伝第19章41節に至る26曲が湧き出るように画面から流れ出て聴くものを飽きさせない。画面もストップモーションが効果的に使われ映画をもり立てている。太宰治の短編小説に「駆け込み訴え」という作品がある。これはユダの裏切りをテーマにしたものであるが実にこの映画のユダの心理を的確に描いているが、これを読んでこの映画を見ればよりこの作品を興味深く観ることができるだろう。」
 そして、一般公開される直前の12月7日にもう一度プレミア試写会で観ているのだった。今は無くなった名古屋駅前の「シネラマ名古屋」の大画面で今野雄二氏の司会で主役のジーザス役のテッド・ニーリィとマリア役のイボンヌ・エリマンの二人が舞台挨拶をした。名古屋でこういう獅子や会が開催されるのは当時としてはほとんど無かったので異常に興奮したのを覚えている。そして、なんと1977年卒業記念のヨーロッパ旅行の折に本場ロンドンのピカデリー劇場で生の「ジーザス・クライスト・スーパースター」を観てしまったのだ。こんな思い入れのある作品なのでレコード、レーザーディスク、CD。DVDと一通りのメディアで全部そろえている。
 クラシック音楽の家系に育った作曲者らしく、アンドリュー・ロイド・ウェバーはロック・ミュージックの体裁をとっていながら、非常にシンフォニックな部分がありついにこの映画版でその真価が発揮されている。序曲はアンドレ・プレヴィン指揮するロンドン交響楽団が壮大なサウンドを展開する。セリフの部分が無く壮大な音楽がまさにオペラの手法で描かれる。映画は現在と過去を対話させながら一つのし湯代を追ってがっしりと構成されている。
 「イエスよ、私たちのために死んで」という節をバックにイエスのアップがストップモーションで捉えられるシーンは象徴的である。バスでやってきた若者たちが帰る時は一人イエスを置き去りにしていく。そして、イエスは太陽をバックに沈みかけた暗闇の中を孤独なままに歩いていく。愛とは、平和とはという問題をイエスという神格化された存在を人間レベルの視線でさりげなく、しかも厳しく描いていてやはりすばらしい作品である。
 唯一の欠点はこの映画版のサウンドはオーケストラとバランスが適切でなく、尚かつ音がやや貧弱な点である。映画の中で聴いているとそうとも思えないのだが純粋にサウンドトラックとして聴くとどうしてもその部分が目立ってしまう。
 「私はイエスが分からない」、「スーパースター」は当時ヒットしたし、「ホザンナ」、「熱心党シモン」など佳曲がちりばめられていてサントラだけ聴いてもすばらしい作品には違いない。
 世の中に三大ミュージカルなるものがあり一般的には、「ウェスト・サイド・ストーリー」、「サウンド・オブ・ミュージック」、「マイ・フゥア・レディ」らしいが小生としては「ジーザス・クライスト・スーパースター」、「ウェスト・サイド・ストーリー」、「サウンド・オブ・ミュージック」の方がふさわしいと思うがいかがなものであろうか。     

。                                                           2006/01/29

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