スカイ
指揮/ネヴィル・マリナー
演奏/アカデミー室内管弦楽団
MERCURRY 833 908
P:Dick Lewzey
E:Stieve Price
録音1987
CTSスタジオ,ロンドン
1 The Marriage Of Figaro: Overture 03:53
2 Eine Kleine Nachtmusik: Rondo 02:41
3 The Marriage Of Figaro: Non So Piu, Cosa Son 02:30
4 Symphony No. 34: Last Movement 03:46
5 Symphony No. 35 ("Haffner"): Adante 05:21
6 The Magic Flute: Overture 06:48
7 Eine Kleine Nachtmusik: Romanza 05:32
8 Horn Concerto No. 4 in E-sharp: Rondo 03:34
9 Don Giovanni: La Ci Darem La Mano 02:56
10 A Musical Joke: Presto 03:57
11 Come, Sweet May 02:53
12 Alla Turca: Rondo 06:31
80年代に一時期を風靡したグループの作品ということで期待して購入したCDだったがこのアルバムはイージーリスニング・クラシックというおもむきでそれまでのクラシックを題材としながらも意欲的なアレンジで上品に洗練されたフュージョンサウンドとは一線を画している。ジョン・ウィリアムスの抜けた穴は大きいというところだろうか。しかし、このアカデミー室内管弦楽団との競演盤は全編モーツァルトで固められコンセプトとしてははっきりしているし、これ自体聴く分には楽しめる。このCDが発売され頃にはモーツァルトの没後200年記念の企画が進行していたし、なにせMERCURRYの親会社フィリップスはその企画を一番推し進めていたのでこのアルバムはその流れの中の一環として企画されたような気がする。
こういったクラシックのアレンジ企画ものは当時ジャズからのアプローチとしてギュンター・ノリスやオイゲン・キケロなどが盛んにやっていたがその中でもクラシックの本格的なギタリスト「ジョン・ウィリアムス」が中心となってクラシックからポップスの世界へ逆アプローチしたことが斬新だったように思う。サウンド的にも「アリオラ」レーベルからオーディオ的にも満足するファイファイ録音で登場し、当時は45回転LPとして発売され話題になったものだ。小生もベルリオーズの「断頭台の行進」とワーグナーの「ワルキューレの騎行」を今でも持っているがすばらしくスリリンクな仕上がりになっている。CDで聴くより遥かにいい音で今でも手放せないでいる。
さて、このCDはモーツァルトの名曲を11曲ピックアップして演奏しているが概して交響的作品との競演よりもオペラのアリアやピアノ曲のアレンジの方が楽しめるようだ。「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」からは2曲選ばれているが「ロマンツァ」の方はケヴィン・ピークのギターをフューチャーしてしっとりとした曲調でまとめられている。交響曲からはあまりな地味のない第34番と第35番「ハフナー」がチョイスされている。前者は畳み掛けるようなドラムスのリズムをベースにフルオーケストラを使って快活に仕上げられている。ハフナーからはアンダンテをアレンジしているのでこちらはしっとりとしたピアノがシンセサウンドのベースの上を静かに謳い始め、やがてギターが加わるがまるでピアノ協奏曲を思わせるアレンジで意表をつかれる。「魔笛」の序曲は原曲のオーケストレーし四を生かしながら一番従来の「スカイ」のスタイルに近いアレンジで何かほっとしたものを感じる。ちょっと異色なのは8曲目のホルン協奏曲で、ここではホルンの代わりにハーヴィのチューバがソロ楽器としてフューチャーされている。一瞬この早いパッセージをチューバで？とびっくりさせられるがここはご愛嬌か。この曲だけは単にテューバ協奏曲にアレンジされているだけでスカイとしての演奏ではないが思わず微笑んでしまう。憎い選曲である。チェンバロを効果的に使った「音楽の冗談」はコミカルなこの曲の特性をうまく引き出したアレンジで楽しめるし、木琴で始まる「トルコ行進曲」もしゃれたアレンジでジブシー風のヴァイオリンを挟んだり一度終わったと見せかけてオマージュ風のエピロークを付け加えるなどして最後を飾るにはふさわしい仕上がりになっている。
バックのマリナーの指揮するアカデミー室内管弦楽団の演奏はいつもの生真面目な表情とは違いリラックスしてモーツァルトの音楽を楽しんでいる演奏でスカイを好サポートしている。
アーティスト
Tristan Fry
Herbie Flowers
Francis Monkman
Kevin Peek
2005/01/07